③家族の反対
2日間の修練会後すぐに看護師寮を出て、統一協会のアジトである宿舎(ホームと呼ばれていた)に入居し、統一協会の掲げる地上天国を作るために頑張っていこうと決心しました。その時すでに多くの若者が入居しており、同じ目的のために働けることを非常に喜びました。
ところが、病院での仕事は続けていたので、仕事が終わると街頭アンケートに出かけ、終わったら反省会を行い、毎日の睡眠時間が多くても4~5時間でした。共同生活も初めは楽しかったのですが、時間が経つにつれて体の疲れと、ノルマをかけられるというプレッシャーでストレスがたまっていきました。
入居後2ヶ月ほどしてから両親に統一協会に入信した経緯、現在は看護師寮を出て共同生活をしていることを手紙で知らせました。両親は親戚の方に相談し、大変なところに私が入信したことを知って、これからどうすればいいのか悩んだそうです。
親戚の方を通じて様々な相談してくれそうな所を紹介してもらい、どうしたら私が脱会できるか相談に行ったようです。自民党議員の所から共産党の所にも出かけました。共産党の所で統一協会問題を扱っているキリスト教会の牧師を紹介されたそうです。
両親があちこちの相談所やキリスト教会などに相談に行っている時期、私は統一協会にのめり込み、仕事を辞めて統一協会の働きに専念したいと思い始めていまし た。しかし、そのためには両親の許可が入り、両親が統一協会の信仰には完全に反対していることは気付いていましたので、許可をもらうことは難しい状況でし た。
当時、統一協会の計画で日本人の協会員がアメリカに渡航して働きを行うという計画があり、私もそのためのパスポートを 取りました。自宅から統一協会の宿舎に住民票を異動して、勝手にパスポートを取りましたので、そのことが両親にばれてしまいました。それで両親は心配し て、私がアメリカに行ってしまうとそれこそ二度と日本に帰れないと思い、役所に行って住民票が異動されたらすぐに家に連絡して欲しいと頼みました。
そして東京にあるアメリカ大使館に英語の文書を書いてもらって私がアメリカに渡航しないよう陳情に行きました。法務局にも行って、人権保護問題として統一協会の問題を扱って欲しいと訴えました。神戸のアメリカ領事館から、お宅の統一協会の娘さんをアメリカに渡航させないようにしますとの返事が来て、両親はほっとしたということでした。
それからしばらくして私がまだ病院で働いていた時、職場に親戚の方が突然現れました。 急用があるから、病院にも断っているので来て欲しいとのことでした。私は仕事の途中でしたが抜け出して着替えました。病院を出て親戚の人の所に行くと、父がそこに待っており、車でそのまま福井県の元統一協会員だった方の所に連れて行きました。